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新種のヨコエビ

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和 名
新種のヨコエビ
科 名
学 名
Melita okinawaensis / Melita miyakoensis

本研究成果のポイント】 ・琉球列島の沖縄島と宮古島の陸水から,新種のヨコエビが発見されました. ・琉球列島の陸水における生物多様性の解明が大きく前進しました. ・新種はオキナワメリタヨコエビ(学名:Melita okinawaensis)およびミヤコメリタヨコエビ(学名:Melita miyakoensis)と命名されました. 【概要】 琉球列島沖縄島の汽水域および宮古島の淡水域それぞれから新種のヨコエビであるオキナワメリタヨコエビ(学名:Melita okinawaensis)とミヤコメリタヨコエビ(学名:Melita miyakoensis)が発見されました.琉球列島の汽水・淡水域からのヨコエビ類の報告は限られており,その多様性は比較的低いと考えられてきました.しかし,今回の発見により,琉球列島の陸水におけるヨコエビ類の多様性は従来考えられていた以上に大きいことが分かりました.さらにミヤコメリタヨコエビは,本研究で同時に新種記載された小笠原諸島に分布するオガサワラメリタヨコエビ(学名:Melita ogasawaraensis)と非常に近縁であることが分かりました.今後,メリタヨコエビ類の分布や遺伝構造等を明らかにすることで,琉球列島の陸水における小型無脊椎動物の種多様性が,どのように形成されてきたのか明らかにできると考えます. 【背景】 ・2010年9月,沖縄島本部町の塩川でシミズメリタヨコエビに似た種が確認されました. ・2012年8~10月,宮古島の複数の湧水から眼のないヨコエビの一種が確認されました. ・2019年,株式会社イーエーシー,京都大学,小笠原自然文化研究所,広島大学による共同研究を開始しました. 【研究成果の内容】 ・オキナワメリタヨコエビおよびミヤコメリタヨコエビは,詳細な形態比較と遺伝子解析により新種であることが分かったため,オキナワメリタヨコエビ(学名:Melita okinawaensis)およびミヤコメリタヨコエビ(学名:Melita miyakoensis)として記載・命名されました. ・オキナワメリタヨコエビは沖縄島の汽水域から見つかりました. ・これまで,沖縄島からはシミズメリタヨコエビが報告されてきましたが,沖縄島にシミズメリタヨコエビは分布せず,従来の報告の種は本新種であることが分かりました. ・ミヤコメリタヨコエビは宮古島の淡水域から発見されました. ・ミヤコメリタヨコエビは体色が白色で眼を欠くという地下水性種に共通してみられる特徴をもちます. ・ミヤコメリタヨコエビは海から地下水経由で淡水域に進出して進化してきた可能性が示唆されました. ・ミヤコメリタヨコエビは,本研究で同時に新種記載された小笠原諸島に分布するオガサワラメリタヨコエビ(学名:Melita ogasawaraensis)と遺伝的に近縁であるという,生物地理学的に非常に興味深い事実が明らかになりました. 【今後の展開】 ・メリタヨコエビ類の分布や遺伝構造等を明らかにすることで,琉球列島の陸水における小型無脊椎動物の種多様性が,どのように形成されてきたのか明らかにできると考えます. ・ミヤコメリタヨコエビとオガサワラメリタヨコエビが近縁であるという事実から,琉球列島と小笠原諸島の間の分散の可能性について,新たな議論の展開が期待されます. 【参考資料】 本研究成果は,ドイツの動物学雑誌Zoologischer Anzeigerに掲載されました. タイトル:Taxonomy and phylogeny of the genus Melita (Crustacea: Amphipoda: Melitidae) from the West Pacific Islands, with descriptions of four new species 著者:Ko Tomikawa, Tetsuro Sasaki, Masaru Aoyagi, Takafumi Nakano 巻・ページ:296巻・141~160頁 年月日:2021年12月22日(オンライン・ファースト)

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